初日の出は見なかったが、凧はあげた。
その形はまるで希望を乗せ勢いよく進みそうな、飛行機型だった。
絵柄は龍だ。
小さいとき以来、凧なんてあげることはなかったが、大人になって風が読めるようになったので、凧はすこぶる高くあがる。
しかし凧をあげるために動き過ぎてしまって、心肺に痛烈な痛みが走ってしまった。
そんなことはおかまいなく、凧糸の巻きがなくなるまで凧はあがる。
思えば、昔の人はこの遊びに一年が晴れやかになるような気持ちを込めていたのかもしれない。
「よーし、オイラの金運も、風に運ばれてまいあがーれ!」
そう願うと、凧は強く吹いた。