父のおにぎり。
東京に帰るということで、昨日父がおにぎりを作ってやろうか、と尋ねてきた。
一瞬迷ったが、せっかく作ってくれるということで、ありがたく頂戴することにした。
しかし今日になって、おにぎりはやっぱり荷物になるな、リュックもパンパンだし、そもそも飛行機16時30分に飛行機来るから、空港で食べるにも時間が中途半端だしなどと、やっぱり断りたいななどという気持ちもムクムクと膨らんでくる。
でも父が一人暮らしをしていること、そして退職して何もすることがないのを知っていたから、断るに断れない。
結局、おにぎりは作られてしまった。
床屋で望んで坊主にするのと、おまかせでえなりかずきにされるのとでは、切ったあとの爽快感は違う。
それでも、このおにぎりは、普段世間の不満を多く口にしている父の笑顔を引き出した。
東京に帰る間少しそれを持っていける。
そのおにぎりを、家に帰ってから明日の朝ごはんや、そしてお昼に持っていこう。
気持ちはさらにまた、晴れやかになる。